■歌舞晩会へ

■160元のチケット

 私達のツアーで歌舞晩会に参加したのは陝西省からきたおじさん&彼女と最近結婚したばかりの夫婦と私の5人だけだった。やはり160元のチケットはちょっと高い。他の人も興味はもってるみたいだったけど160元だからやめたみたい。私達の160元払った席はVIP席でもなく、正面席でもなかった。王くんよー、いい席とってくれるって言ったじゃないっ!舞台はスタジアムのように円を描いて囲んでいるのではなく、正方形の舞台を正面席、左側、右側、と囲んでいるのであった。私達は左側の楽屋の入り口付近で、左側からしか舞台をみることができず、写真も思ったようにとれなかった。これで160元?ってかんじよ。青GE酒(大麦で作ったお酒)とヤクの肉等がついている、っていったけど客が入るまえにすでに設置されたおつまみだった。そういえば私はそこで生まれて初めてヤクの肉を食べたのだった。そのときはそれはヤクの肉だとはきがつかず、牛肉のジャーキーだと思ってたけど。ヤクといえば、友人がチベットでヤクのステーキを食べて1週間ほど吐いたり熱がでたりのひどいことになったというのを覚えていたので、食べるつもりがなかったけど知らずにそんなところで食べていたとは。しかも結構美味しかった。友人以外にも日本人ヤクが体にあわずに重症になった人がいるときいたけど、それはたぶん高山病などのあるチベットのような高地で食べたからなんだろう。普通の身体状態のとき、少量食べるのはきっとなんら問題ないのだよね。

■歌舞晩会はじまる

九塞溝にはチベット族しかいないけど、アバがチベット族とチャン族(羌族)の自治州になっているので、歌舞晩会では両方が交代ででてきた。その方がお徳感はあるのかな。けど少数民族の知識がない私には見分けがつきにくい。動物の毛をまとった衣装をみたらチベット族だってわかるけど、つぎつぎとでてくる民族衣装にどっちがチベット族とかチャン族とかはっきりとわからない。

杯をもって敬酒
↑お酒の杯をもって乾杯!


色んな衣装で踊る人たちは綺麗で面白かった。特に印象に残っているのは、チベット族の踊りは袖を大胆に振り振りしている感じで、チャン族の娘さんの踊りは両手を前にちょっと出して円をかいて、それがとてもぶりっこっぽくも可愛かった。腰の後ろについている布も手で持つと蝶の羽みたいだし、綺麗な衣装だった。

チベット族の踊り(男性)↑長い袖を振り回し、飛びながらくるくる回転する
チベット族の踊り(女性)↑女性も同じく袖をふりまわす  チャン族の踊り↑チャン族 長い袖はなく腰に布がついていてそれを広げると蝶のようになる。 

チベット族、チャン族の団体での民族舞踊の間に一人で歌うステージが入る。彼らも少数民族だ。歌っていると観客席から子供がでてきて、入り口で一人一人に肩にかけてくれた白い布をもってステージに上がって出演者の肩にかけていく。一人行くとまたひとり、つぎつぎに続く。ステージに上がるのは皆子供だけど、おそらく大人が子供にもっていかせているのだろう。出演者は一応喜んでうけとっているみたいだけど、もしかしてちょっとうざいのでは?と思う場面も。肩にかけてもらうためには頭を下げてなければならないから歌っているときは声がうまくでなそうだし、それに人がひっきりなしにきて肩にかかりきらないくらいになってしまう。あの布はなんなのだろう。私もちょっと真似してみたかったなぁ。

■容中爾甲登場!

警備員が2人入ってきて舞台と客席の境に立った。次は容中爾甲の登場だそうだ。客席が妙に盛り上がっている。私は容中爾甲という歌手をしらなくて、「誰?」って感じだったけど、人気のある人だということだけはわかった。

出てきたのは黒の皮ジャンにブルージーンズの普段着の男性だった。肩にかかるくらいの髪にひげははやしていない、独特の雰囲気はあるけれど、背丈も低く、迫力は感じられなかった。普段はここで歌を歌うらしいのだけど、今日はひどい風邪のためお話しだけだという。そんなぁ、お客のなかには彼の歌がきけるから160元だしたっていう人も絶対いるはずなのに…。

あとから人にきいたけど、容中爾甲はあの場所で歌をうたっていて有名になったそうだ。そういえば会場の名前も「九塞溝容中爾甲演芸中心」という名前だった。あの日は本当にひどい風邪をひいていたのかよくわからないけど、結局1曲は演奏つきで、あと1曲はアカペラで歌ってくれた。成都からバスで移動する間彼のVCDを流していたので彼の歌は何度も聞いたけど、生の歌は確かにすばらしかった。彼の声は声量があるけど耳にキンキンと響かない心地よい声だった。それにしてもステージでみた彼は飾り気もない普通の格好だったからなのか、それとも風邪をひいて元気がないようにみえたのか、VCDでみるようなチベット族のイメージが感じれらない。とくにVCDではチベット族の衣装を纏いちょび髭を生やしていて、馬にのって疾走する勇猛なイメージだったのに、あの日実際私がみた容中尓甲は目がすごくやさしく穏やかな人だった。ちょび髭があるかないかでそんなにイメージ変わるのか。わからないけど、彼の歌は好きになった。

容中爾甲










←容中爾甲 ズームが2倍しかないので小さくしか撮れなかった  これが悔しくて私は光学ズーム5倍のデジカメを買った

 




■ステージに上がる人

驚きだったのは観客席とステージの間の通路狭いためか、遅れて入ってきた人が舞台の上を通っていくことだった。日本じゃ信じられない行為だ。中国のコンサートはは「騰格爾」というモンゴル族の歌手と台湾のバラード王子「張信哲」とたくさんの歌手が勢ぞろいする「統一首歌」を見に行ったことがあるけど、「騰格爾」の時は歌っているところに観客が舞台まで登っていって花束を渡したりするのが何度もあって驚いた。テレビでもたまにそんな光景を目にする。たぶん若い熱狂的ファンの多い有名人は警備員が入って舞台立ち入れないようにするのだろうけど、小さめのライブだったりすると許可されるのかもしれない。「騰格爾」は力強い歌を歌う有名な歌手で、確かに若い追っかけが付くようなタイプではないけど、でもまだ最後の曲を終わりきっていないうちに、車がこむからという理由で退場していくひとが沢山いたのにはびっくりした。アンコールとか期待しないのかって思った。そんなにどうでもいいならコンサート自体にこなくてもいいのに。中国ではコンサートに出ている人のすごさを感じるというより、コンサートを見に行った(見に行ける金銭的余裕もある)自分はすごい、ってそういう発想があるような気がする。歌手のステージを生でみて感激!やっぱり歌はうまい!とかいう感想よりも、まあ有名な人だからチケットもあるし見にいこうかなあ、渋滞に巻き込まれるのはごめんだから今のうちにかえってご飯でも食べに行こうか、というそんなイメージだ。日本にもそういう楽しみ方があるのだろうけど、日本のライブは全体的に高いから、自然と好きな歌手を選んで、ちゃんとCDをきいて予習していくのが普通になっているのだろう。中国の歌は新曲がでるのスピードが遅く、昔の曲が何年も何年もかかっている。そのため大規模なコンサートを開催できるくらいの人の歌は別にファンじゃなくてもみんな口ずさみ歌うことができる。予習の必要ない。だから自然と熱烈なファンではない人達も集まるのかな。

九塞溝のステージはステージ上の出演者と観客とが一体になる感がでる、という意味では有意義だけど、それでもせっかく見いっているところに、ステージを通って帰って行く人の姿をみたくはないよね。

■チャン族のゲーム

 観客参加のゲームがあった。まず最初に力のつよそうな男性にステージに集まってきてもらう。大体20人くらいがステージに上がる。こういうとき日本人は引込み思案なところがあるけれど、中国人は自ら率先してでていく。力が強そうに見えない人まで集まってきた。最初は2択のクイズで人数を絞っていく。クイズは九塞溝やチベット族、チャン族に関するものだった。4人がクイズで勝ち残り、チャン族の伝統的ゲームで対戦することになった。そのゲームは日本の綱引きに少しにている。2人で1対1で対戦するもので、紐の両端をお互いに首にかけて、地面によつんばいになり引っ張り合うってゲームだった。クイズで勝ち残った四川省の瀘州から来た人と天津から来た人とが決戦で闘い、瀘州出身の陳さんが勝った。ゲームの賞品はチャン族のお嫁さんをもらえるということだった。横にはベールをかぶったチャン族のお嫁さんがちゃんと準備されている。司会者は陳さんに聞く。「結婚していますか?」陳さん「しています」。観客ちょっとがっかりの様子。司会者は続ける「奥さんは九塞溝に一緒にきていますか?」陳さん「きてません!!」奥さんがきていないということで陳さんは花婿衣装を着せられ結婚儀式になった。最初は既婚だから少し躊躇していた陳さんだけど、司会や観客の勢いに負けて、段々と楽しんでるように見えた。

 ふと瀘州からきた陳さんが奥さんをつれてきていないことについて考えた。本当かどうかはわからないけど奥さんを連れてきていないとなると、友人とかあるいは会社できていることになるんだけど、会社の旅行だったらこの人が多い国慶節には出かけないはずだ。瀘州は重慶市の西で九塞溝からもそれほど遠くないから、友人と気楽にこれる距離ではあるけど、国慶節の長期休暇はふつうに考えたら家族で旅行をする。やはりこれはお金持ち男性が自由に行動するっていうパターンなのかな。そういえばあの陝西省からきていた人も、40代男性と若い女性だった。中国では旅行はカップルか家族くるのが普通だから、最初は夫婦だっておもったけどそのうちよく見ると女の子がやけに若いから親子なのかなと思った。でも李にきいたら絶対夫婦でも親子でもないという。やはり年齢差が不自然だ。あの子はけして美人ではないし少しふけて見える顔だけど、たぶん20代なのだろう。おじさんは40代だから、夫婦の歳でも親子の歳でもない。あの女の子がもし30歳すぎていたら夫婦に見えなくもないけどそしたらもっと夫婦の雰囲気が漂うはずだろう。お金持ちの男性が彼女をつれて旅行するのは驚くことじゃないのだけど、でもなぜ彼女なのかが不思議だった。彼女は外見も話し方も田舎っぽいし、怪しいカラオケのお姉さんには見えないし、自分からすすんで不倫をするようなお嬢ちゃんにも見えない。おじさんはどこで彼女と知り合ったのか。普通はカラオケで働く美しく着飾っている女性を彼女にするのが多いんだけどなぁ。あの子は何も欲しがらなそうで旅行してもお金かからなそうだから???それとも二人は本気で恋愛中?でもおじさんは旅行の間中ずっと紺のスーツにネクタイだった。家族に出張にいってくると行って出て行ったのだろうな
。誰かが言っていた。中国では貧乏な旦那さんをもっても苦労するし、お金持ちの旦那さんをもっても苦労すると。お金持ちの旦那さんはお金があるから遊ぶんだよね。そしてお金をもっているから罪悪感がない。

■歌舞晩会終了

チベット族

















←伝統的チベット族の衣装 背が高すぎる!普通の人は彼の肩までの背丈。





■部屋へ戻る

ホテルの部屋に帰ってきたら部屋がかわっていないのでむかついた。李に部屋変えておいてっていったのになんで変えてくれていないの!またフロントに言いにいったけど、向かいの部屋にはもう他の客が入ってしまったみたいで、部屋がなくなってしまったそうな。ガイドの王くんヘルプを求めようと王くんにきてもらって「ほら、窓しまらないのだけど、寒くて凍える」っていった。すると「大丈夫、カーテン閉めたら大丈夫」とほざく。再度「私は外国人なんだけど、窓があいていて万が一のことがあったらどうするの」ときく。「大丈夫。きっとありえないから」…まったく…危機感のない人に万が一という例をだしても意味がないということが分かった。仕方がない、寒いのを我慢するしかなかった。浴室も湯船もシャワーもあったけどお湯が微量にしかでないので入浴は無理だった。くそー、こんな寒いところで窓をあけて寝るなんて、馬鹿みたいだよ。


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