5日目 「成都へ移動」

■最終日なのに

 とうとう4日間の九塞溝・黄龍ツアーの最終日となってしまった。旅行というものは往々にしてあっという間に過ぎてしまうものだ。今日は成都に帰るという旅程しかないのでこの旅行ももう終わってしまったというさみしさをかんじてしまう。王くんとも今日でお別れだ。別に大した交流していないけどもう2度と会うことがないというのが確定しているからちょっと寂しい。せめて車からみえるアバの山々を目に焼き付けて帰ろう。

 朝はなぜか6時起床で6時半に朝食だった。昨日は夜中にホテルに着いたのになぜにこんなに朝が早いのだ。幸い昨日飲んだ漢方薬がきいたのか頭痛はよくなっていた。朝食はいうまでもない、お粥と漬物、マントウにゆで卵だった。やっぱり少ししか食べれない。もっとさわやかな食べ物はないのか。朝早いのにおもてにりんごを売っているひとを発見!2斤で1元という。当たり前だけど天津より安い、相場がわからなかったけどまあいいや、とりあえず買って朝ご飯の足しにした。後できいたらりんごはそのあたりの特産でもっと安いらしい。損しちゃった。まあいいや。早朝から売っているおばちゃんに早朝手当てってことで。

■チベット族のお姉さん

 さて寝坊した人達もそろい出発した。茂県の私達の泊まったホテルの辺りは商店街とまではいかないけどちょっとしたお店が並んでいたけど、そこを出発するとすぐに山がみえてきた。夜はあけているけどまだ薄暗い。このあたりには、チベット族のお姉さんが道路脇でまっていて、バスに乗って歌を歌ったりしてくれるという。なんか純朴な少数民族の風習をイメージした。すぐにお姉さんが道路脇でまっているのが見えた。それも5m毎に2人ずつで何組もいる!純朴なイメージが…商売色に染められている。まあ、生きていくにはお金儲けが必要だからなぁ。辺鄙な田舎は観光収入がなければ貧しい農村でしかいられいないのだ。運転手はその中で知っている女性のところにとめ、二人のチベット族のお姉さんを乗せた。彼女達は売り物の石をもってでかけるのだという。その車に乗せてもらうかわりに皆に歌を披露したり、チベット族のことを話ししたりするみたいだ。一人のお姉さんは30代くらい。もう一人は20歳もきてなそうな娘さんだった。二人ともチベット族の民族衣装をまとい、首から沢山のネックレスをかけている。ネックレスは多ければ多いほどよいそうだ。大きな玉をたくさんつけたネックレスをいくつもかけて、肩がこったりしないのかなと思う。二人は順番にアカペラで歌を歌ってくれる。皆のききとれる普通語の歌もあるし、チベット族の言葉で歌われる歌もあった。故郷を思う歌だったり、母親を想う歌だったり、綺麗な歌だった。チベット族の風習について話をしてくれた。少数民族や田舎の人達は結婚が早い。チベット族も17,18歳でもう子供がいるという。じゃ、結婚は何歳?ってきいたら、なんと子供ができてから結婚するそうだ。日本でも「できちゃった婚」は多いけど、中国のチベット族で結婚前に子供をつくることが風習とあるなんて驚きだ。中国の都市部ではいわゆる「できちゃった婚」というのは増えてきている。がしかし、実際は日本よりもかなりイメージが悪い。しかもその悪いイメージは女性の方に全部振りかかってくるらしい。姑など男性側親戚に見下されたりするらしい。だから都市部では結婚する前に子供ができるひとっていると思うけど産まない人がいると思う。中国は一人っ子政策だから、結婚が早くても遅くても1人の子供しか産めない。だったら、回りになんの文句も言われない時期に産んだ方がいいでしょう、と考えるのだと私は分析する。そのほかにも一人っ子政策であるがために、1人の子供に望むものがとても高く、男の子を切望する夫婦は男の子でないとわかったら人口中絶したりする。「重男軽女」といって、女子よりも男子を望む方がまだまだ強い。農村では労働力として男子が必要とされるので、第一子が女子の場合はもう1人産んでもよいということになったけれど、ある調査によれば、官僚の子供は男子の出生率が女子の1,4倍にもなっているという。確かに1人しか産めないからその気持ちはわかるのだけど、それでも諸々の理由で日本より人口中絶を比較的に簡単に行っている感を感じてしまう。

 チベット族の風習でもう一つ驚いたのが、昔からある結婚に関する風習。今は自由恋愛が多くなってきて、昔からある伝統的な結婚の様式でないことが多いそうだが、今でも伝統的風習に基づいて結婚しているところもあるという。その風習は兄弟で1人の女性を娶るというもの。たとえばある一家には3人の息子がいて、その3人の息子に1人のお嫁さんをもらうということ。これは息子がそれぞれにお嫁さんをもらうと家族がばらばらになってしまうので、それを恐れてそうするらしい。3人に1人のお嫁さんなら3人の息子が離ればなれになることはなく、その家族がずっと一緒に過ごすことができる。確かにそうなのだけどお嫁さんは順番に兄弟の寝室をまわるのだろうか。1番目に生まれた子供が長男の息子で次は次男の子供というふうに決めるのだろうか。あとで大きくなったら長男の子供は三男にそっくりだった、ってことはないのか…と疑問はめぐる。

ショッピングの始まり

 今日は告げられていなかったけど色々ショッピングによるらしい。中国のツアーは買い物に連れていかれることを思い出した。ツアー客に買い物をさせてガイドがそのマージンを受け取るというもの。だからガイドも一生懸命すすめる。王くんもそうだった。でも王くんが他のガイドと違って、マージンがいくらだってツアー客に正直に伝えている。普通はマージンがもらえることも伝えないのが多い(いわなくてもマージンがあることはわかっているけど)だから王くんはとても正直な人なのだろうね。そんなこといわなくても良いのに。

■定番!水晶店

 最初に寄ったお店は水晶のお店だった。水晶は中国ツアーのおきまりコースだ。雲南でも桂林でもつれていかれた。桂林では水晶のお店がはじめてだったので珍しくて小さなネックレスを買った。あとで水晶とはどこでも買えるものだと知ったけど。

 水晶のお店は大体パターンがきまっている。最初に水晶や紫水晶(アメジスト)などの原石を展示してあるところに連れていき、お店の人が水晶の採掘や加工作業を写真やビデオなどで説明する。水晶に興味を覚えた頃に隣の部屋につれていく、そこが大きな水晶売り場となっているのだ。ペンダントトップのような小さな水晶から、数珠を水晶で作ったようなもの、水晶でつくった眼鏡もある。あとは高額になるが盆栽のような小さな木を水晶でつくったものもある。この水晶盆栽は300元くらいから3000元くらいまで。中国の家は広く備え付けの装飾品を飾る棚があるところが多く、そこに飾ったりするのだろう。一般によい部屋になればなるほどそういう棚が多く、反対に裕福でない人は装飾のない真っ白な壁の面積が多い。旅行に出かけられる人は一般的に所得が高い方に含まれるので、なかには旅先でふらっと装飾品を買ったりするのだろう。

 ガイドの王くんはマージンがもらえるので買い物をすすめる。マージンはそんなに高くはない。大体5%くらいだろう。100元買って5元もらえるくらいだけれど、それでも旅行社からもらう給料は相当低いと思われるので、マージンは重要な収入源となることは確か。中国でツアーコンダクターの給料は高くない。王くんは出身が辺鄙な山の上だから学歴もないだろうし、おそらく低い給料でこき使われていると思われる。中国では日本のように自由に住む場所をかえることができない。たとえば、日本で「東京に行く!」といって田舎からでて、そして仕事をみつけて住民票をうつして終わり、ということができない。田舎の人が勝手に街に出て出稼ぎをするということは禁止されているのだ。もちろんそうやって都市に流入してきている人も沢山いるけれど、都市の戸籍がないと就職や子供の教育などで不利になる。だから王くんも学歴やコネ、都市の戸籍がないと割の良い就職先にはつけないと思われる。今は旅行のシーズンだから王くん達ガイドは4日間のツアーに休みなしにまわっているそうだ。今日成都についたら、明日は新しいツアー客をつれて九塞溝へ向かうんだって。休みは月に5日ほど。冬になったら旅行客がすくなくなるため実家にかえったりできるそうだけど、そうすると給料は保証されるのかわからないし、あまりうれしいことでもないだろう。なんか王くんの話しをきいていると同情してしまう。

■ヤクの肉

 水晶の次はヤクの肉のお店につれていかれた。ヤクの肉をジャーキーにしたもの、辛味などの味をつけたもの、でんぷ状態にしたものなどなど種類が沢山ありどれも試食ができる。私は昨日の歌舞晩会で知らずに食べたジャーキーが初めてのヤクで、すでにヤクデビューしているわけだけど、こんなに沢山のヤクを売っているのは初めてみた。そういえばヤクというものを中国にきて初めて知った。中国にくるまではヤクという生き物を知らなかったのだ。今ではヤクを見たこともあるし、食べたこともあるし、乗ってみたこともある。中国に来てヤクに急接近した感じだ。ヤクは結構可愛い。白い毛に黒い角、背丈は高くなく、みたところとてもおとなしくみえる。馬に乗ることと比べたら全然怖くない。そんなヤクのお肉は結構美味しかった。味付けのしてあるものは中国風の味つけなのでちょっと苦手だったけれど、ジャーキーなどは結構美味しかった。ヤクがメインのお店だったけれど山菜やお茶も売っていた。山菜は、しいたけ、きくらげ、蕨、松茸まであった。そういえば四川で松茸がとれるときいたことがあった。松茸はさすがに他の山菜より高かったけれど日本に比べたら断然安い。味はどうなのだろう、乾燥させてあるし、日本のとは味が違うだろうけど。きくらげや蕨は見た目も日本のと同じだった。私は蕨を購入。それとお茶を一箱買った。そのお店は値札がきちんと貼ってあり、大幅な値引きはできないようになっていた。100元かったら「青KE酒(大麦でつくったお酒)」を一瓶つけてくれるというサービスがあるけれど値引きはあんまりできない。商品はすべてキャッシャーまで持っていって購入して、そのときに2枚一式の伝票をくれる。その1枚はガイドに渡して、ガイドはそれをもとにお店から5%のマージンを得る。もう1枚は出口からでるときに、警備員に提示して実際買ったものとあっているかどうか照合して通してくれるようになっている。そこで買ったものすべての伝票がなかったら通してもらえない。伝票がないということは一つは万引きしたということ、もう一つはキャッシャーで支払いと伝票発行をせずに、キャッシャー以外の場所で販売員に直接お金を支払った場合がある。実は私も2回目の買い物のときに、ねぎりまくって安くしてもらうためにキャッシャーを通さずに直接販売するということで安く購入したばかりだった。私は伝票は王くんのマージンのために発行するだけだと思っていたから、王くんのマージンが減るだけだとおもっていたから勢いで買ってしまったのだけど、結局出口でとめられて、王くんと警備員が私に直接売ってくれた人を探し出してキャッシャーまでいって伝票を発行することになった。キャッシャーを通すとまずガイドへの5%のマージンがひかれ、あとの利益は担当した販売員の出来高制で支払うか、あるいは均等に給料として振り分けるのかわからないけれどとりあえず販売員に直接わたることはない。だから販売員がその利益を1人占めしようとして、安くするかわりにキャッシャーを通さないその方法をふっかけてきたのだろう。販売員は利益を1人占めできないうえに、すでに安くしてしまったからその分自分の取り分も減ってしまい、さらには悪事もばれてしまった。こういうシステムになっているとわかっていたらちゃんとキャッシャーのところで買ったのになぁ…なんて今更自分を正当化するのはきたないか。

高原雪茶
↑高原雪茶 眠気を覚ます効果がある
蕨↑蕨の乾燥させたもの 水に戻して食べる 青KE酒↑青KE酒(大麦でつくったお酒)
5元のブレス
↑5元のブレスレット
瑪瑙のブレス?
↑10元の数珠のようなブレス 
瑪瑙だそうだけど…


 伝票がそろってやっとそとにでられた。外でも布を広げておみやげ物を売っている人達がいる。近くを通るだけで「小姐(おねえちゃん)看一下(みてごらん)」と話しかけられる。アクセサリーの結構かわいいものがそろっている。ブレスレット2つ(5元、10元)とヤクの置物(20元)を購入。ヤクの置物は売っていたおばさんが「ヤクが死んで私がつくったの」とつたない普通語で話す。確かに毛の継ぎ合わせが不自然で一部の毛がさかだっている。作りが雑すぎるけど1つしか売っていないから仕方ない。値切って20元で購入。





ハートペンダント 






←ハートの形になっているペンダント。柄は動物の顔のようになっている。他にももっと玉などの飾りがついたものもあったけど、シンプルなこれを購入。
牛の頭ペンダント
↑羊の頭の形をしている。羊の骨で作ったという
が本当かどうかは不明。羊の他に牛もある。
九塞溝の中では2元、ここでは1元で売っていた。



扎西徳勒ネックレス
↑李がどこからか買ってきたネックレス。チベット文字で「扎西徳勒」と書いてあるらしい、「扎西徳勒」は中国語(普通語)では「吉祥如意」(縁起がよく思うとおりにいく)という意味だそう。
白いネックレス
↑またまた李がどこからか購入してきた。かなり大きいので女性用なのか男性用なのかわからない。






ヤクの置物後ろ姿
↑お気に入りのヤクの置物
ヤクの置物アップ↑あどけない表情がかわいい♪

■ヤクの角でつくった櫛

 次にいったところではヤクの角でつくった櫛などを売っていた。小さなお店で売り場と2つの作業場があっただけだった。作業場では櫛をつくっていた。作業をしているお兄さんは人がみてても愛想もなにもなかった。櫛に興味はなかったけど売り場をぶらぶらしていたら、王くんに遭遇した。王くんは「このヤクの角でできた櫛はいいから一つ買ってかえりなよ」と言う。この櫛で頭をとかせば、フケがなくなって、風邪が防げるという。『そんな魔法の櫛があるわけないだろう』と心の中で思ったけれど、一応髪を梳かしてみる。すると「そうやるのじゃないよ」と、櫛をもって私の髪をとかしてくれた。ああ、そこまでしてくれるの。日本じゃありえないなぁ。特に仲良い関係ではなく、男子が女子の髪を梳かすなんて。王くんとしては外国人の私がこの櫛の使い方がわからないからと思って、とかしてみせてくれただけなのだろうけど、やさしすぎて感動してしまうわ。中国の男子はとてもやさしくて素敵だともう。私はうれしくなっていたのもあって櫛を買うことにした。値段は38元というから25元くらいまでは下がるとみた。簡単に25元まで下がった。

櫛









←頭皮をとかすだけで、フケがでなくなり、風邪の予防になる櫛









彩色された石
外に出るとここにも露天があった。果物とおみやげ物をうっている。綺麗な色の石を発見。一つ2元というのでお土産に購入することにした。5つ買ったので10元だったけれど9元にまけてもらった。露天で売っているものは明らかに質の悪いものだけど、なにより安い。ちょっとしたお土産の調達によい。ふとみると昨日黄龍でみかけた日本人の女の子がいた。ここにいるということは、私のように中国人のツアーに参加しているのだろう。九塞溝・黄龍は世界遺産に登録されているくらいで日本からの観光客も多いみたいだけど、国慶節という今の時期日本人は皆無だった。唯一みかけたのが、その女の子だった。ここ数日日本人と過ごしていないから、なんだか懐かしかった。しかも、同じように中国で過ごしているのかと思ったらちょっとうれしかった。

■蜂蜜

 次は蜂蜜のお店だった。中国旅行で蜂蜜のお店につれていかれたのは初めてだった。まず個室にはいって蜂蜜の説明をしてくれる。そこに貼ってある記事には「日本人の長寿は蜂蜜を食べているから」書いてある。そうなのかー!?まあそういう説が成り立たないこともないけど、日本で蜂蜜をそんなに頻繁に食さないけどなー。こちらも説明が終わって次は大きな蜂蜜売り場へ。いくつかの蜂蜜は試食できる。中国人はその試食コーナーへ一気に群がる。試食するのも大変だわ。蜂蜜を1匙にお湯を足して飲む。美味!普通の甘い蜂蜜以外にも蜂蜜に漢方をプラスしたものが売っていた。しみそばかすを消す作用があるものとか、低血圧を治す等。私は動脈硬化に効くという蜂蜜を購入した。元値が170元。値切って130元で買ったんだけど、130元でいいか?ってきいたときに、「こんな安く売ったことはないので、上司にきいてこないとわかりません」というので「じゃ、きいてきて」といってききにいってもらうと、すぐにもどってきた。そのスピーディーさからみるに、別に特別値引きした金額ではないんだと思った。さらに値切られないようにああやって「あなただけに特別やすいですよ」という演技をするんだ。まあ法外に騙されなかったらよしとしよう。値切り続けるのも結構体力使うので。蜂蜜はきちんとした紙袋に入れてくれたので結構ちゃんとした養蜂場だと思った。ちゃんとウェブとメールアドレスもあるし、電話注文で贈ってもらうこともできるそうだ。効果があったらまた注文してみよう。

■お茶屋さん

 その次にはお茶屋さんだった。1ツアーごとに部屋に入り、チャン族のお姉さんがお茶を入れてくれる。お茶を買わなくてもその部屋に入っただけで王くんは1人につき2元(約30円)のマージンを得ることができるそうだ。チャン族のお姉さんは色々と説明をしながら3種類のお茶を入れてくれた。中国のお茶は色々な種類があり、入れ方、飲み方も様々だが一般的にはお茶をいれるときお茶葉を洗うという意味で一番最初にいれたお茶は捨てる。しかしチャン族の間では一番最初にいれたお茶は捨てない。もしお客さんにお茶を出すときに一番茶を捨てるならばそれはお客さんに「早く帰ってくれ」といっていることになるそうだ。そしてお茶は濃ければ濃いほど良い。そのお茶の濃さでお客様へのもてなし度がうかがえるらしい。お姉さんはチャン族の風習に基づいて沢山のお茶葉を入れ、一番目のお茶から皆にいれてくれた。3種類飲んだけれど1種類飲みやすくて日本人にうけそうなお茶があった。種類としては緑茶になるらしいけれど、日本の緑茶のような緑茶の苦さはない。番茶のようなのみやすさがあって、ほんのり甘い。前に雲南省の石林で買った緑茶も同じようなほんのり甘い飲みやすいお茶だった。それは自分ように買って帰り日本の実家にもってかえったら知らない間に家族に飲み干されていた。家族は「そこらへんで手に入るお茶かと思って全部飲んじゃった」といったけど、あとから探しても同じような味はみつからなかった。天津でも雲南の緑茶は売っているのだけど味は全然違った。全く私の家族は素敵なことをしてくれる。幸い四川のアバで同じようにほんのり甘いお茶があるということがわかったけど、自分のお気に入りのお茶を探すのも大変なんだよね。

■漢方薬

 最後は漢方薬のお店だった。このあたりはよい漢方薬がとれるらしい。たしか雲南省にいったときも「雲南の漢方薬は一番!」といって、薬屋さんにつれてかれた気がしたが…。そこでも最初に小さな部屋に入る。そこで助手のお姉さんが、いくつかの漢方薬について、その効能やどういう症状に適しているかなど説明する。そして奥の大きな売り場へ移動する。売り場には4人の中国医学の先生がいた。脈をみて問診もして処方箋をだしてくれる。その処方箋をもって、まず料金を支払ってそれから薬売り場の販売員に渡せば、薬をつつんで渡してくれる。このやり方はまるで中国医学の病院のようだ。先生にみてもらって処方箋をだしてもらったら、薬を買うということになるのだけど、先生のまわりには人が一杯群がっていた。やはり体の不調を整えるということで中国医学を信頼しているのだろう。私達のツアーの人も診察して購入していた。新彊からきている夫婦は子供ができないと相談していた。もう何度も中国医学の病院に通ったらしい。以前の検査結果では二人とも問題はないという結果だそうだけれどもずっと子供ができないそうだ。その夫婦の年齢は30〜35歳くらいだと思われる。中国では結婚して子供を望んでいるのにすぐにできないひとが結構多い。私の30人くらいの職場でも25、26歳で結婚したのに子供が30になってやっとできたという女性が三人いる。私は個人的にこれは中国でよく緊急避妊のピルが飲まれることと関係しているのではないかと思っている。でもとりあえず新彊の夫婦も含め子供を望む家庭に子宝がさずかるようにと願う。

■買い物終了

 さて、買い物コースはほぼ行き尽くした。ツアー参加者は買い物ばかりにつれていかれるのでかなりご不満の様子だった。王くんは「私の仕事に協力してください」っていって、いつもお店に連れていっているけど、買い物しない人にとっては時間の無駄にもなるし、王くんがマージンを得るだけで自分達は損をしている気分なのだろう。旅程には何も書いていないし。大体中国旅行の旅程はあってないようなもの。旅程といってもその日に訪れる観光地を書いて矢印でつないであるくらいで、具体的時間は書いていないことが多いし、書いてあっても往々にしてそのとおりにならない。私達が旅行の契約をしたときも、旅程表は配られなかった。書いてある内容も、たとえば宿泊所は2星ホテル、ツインの部屋といわれても、その日になって「このホテルにツインの部屋はありません、三人部屋です」ということはよくある。今回もお風呂のお湯がでないようなホテルだったし、これは運命にまかせるしかないところがある。旅行社を色々まわって、条件をしっかりたしかめても実際は違う会社からガイドが派遣されてくるから話しが違っているし、その日にどんなガイドでどんな待遇になるかは天にまかせるしかないのだろう。

成都へ

 成都まではそれほど距離はない。4時にはつくらしい。バスはずっと同じ映画を流しながら帰途を急いだ。行きと同じようにスピードをだす。が誰もスピードについて注意しない。行きに「スピードをおとせ」といった北京からお越しのあのおじさん家族はいつのまにかいなくなっていた。いつからいなくなったのか。九塞溝に泊まったあの日はいたはずなんだけどなあ。ホテルとか条件が悪くていやになってしまったのだろうか。何故いなくなったのか気になる。あとの時間は寝て過ごした。成都に近づいてくると李がしきりに電話をしてうるさい。車がなんとかいっている。バスの中で寝ている人もいるのに、電話しまくるのはやめてほしい。食事中に電気かみそりで髭をそるような彼に「公共の場」という概念を持ち出しても意味がなさそうだから何もいわなかたった。

 都江堰を通り、成都市にはいった。皆どこでバスを降りたあとのことを心配してそわそわしてきた。4日間のツアーはずっとツアーの人と一緒にいて、私は日本人とばれないように極力他の人とは話しをしなかったから特に交流はなかったのだけど、それでも今ここにいる人達に2度と会うことはないかと思うと少しさみしくなる。王くんにしてもこの4日間すぐ側にいて、すぐに話しかけられたけど、バスを降りたらもう会うことはないんだよね。まあそれが人と人の出会いと別れというもので、誰かと出会ったということは、その人との別れも同じようにセットでできあがってしまっているということなのだけど、どうも自分が日本人で国籍が違うからか、2度会う機会がないということがすごく強調されて感じる。家族で参加の人は、解散してからも家族でずっと行動するわけで、特に寂しさは感じないのかもしれないけれど、私は日本に帰ったら中国にいる仲のよい友達とすらも会う機会がなくなる。そう思うと、こういう別れはいつも感傷的になる。

■成都着                  

 最初に成都市在住の若いカップルと7歳の子供を連れている夫婦が降りた。どちらも男性が「一路順風」といって降りていった。女性は「再見」とのあいさつもなくおりていった。女性は別れの場では意外とクールなのかも知れない。次にとまるところで私達は降りる。バスを道路の脇に寄せただけなので、急いで降りてトランクをあけて荷物を取った。王くんは降りて「気をつけて!」といってくれた。王くん、最後に握手でもしたかったけど、いってしまった。『さようなら、王くん』バスは発車し、私達はホテルへ向かった。四川から離れるのは明日なのに、旅行はもう終わってしまったような気になってしまった。

5日目 「成都の夜」へ

4日目 「黄龍観光」へ戻る




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