6日目 「天津へ戻る」

■成都空港へ

 昨日は遅かったので朝が起きるのがつらかった。それでも飛行機が12時発だったので10時にはホテルを出発しなければならなかった。張さんたちが空港まで車でおくってくれるということで、電話がかかってくるのを待っていた。私の友人の李はともかく、張さんと方さんは出張で飛行機を利用するみたいなので、国内線でも1時間前に着くようにしなければならないとわかっているが、中国の多くの人が飛行機に乗ったことがなく、電車みたいに飛行場につけば飛行機にすぐに乗れると思っている人が多い。中国の飛行機は料金が日本と比べて高い。北京から上海や広州間などビジネスで使用頻度の高い路線は40%割引なども多いけれど、それでも1万円はする。航空会社の値下げは日本ほどなく、日本と同じかあるいはそれ以上の高い金額になってしまうので、中国の物価から考えるととても高い金額だとわかる。

 10時前になってやっと2人と連絡がついた。車を運転して私たちのところまで来る間朝ご飯を食べて待っていた。なかなか来ない、車のエンジンがかからなくなったと電話で話している。よりによってこんなときに壊れないでよー。私たちのところに着いたときにはもう10時半をすぎていた。時間がきつい。さっさと出発だ。環状線から高速を走る。軍隊のナンバーなので料金所も無料だ。おねえさんが笑顔で手をあげて通してくれた。これは確かに優越感だよなー。ナンバープレートが違うだけでこんなに扱いが違うのか。

■ギリギリセーフ

 空港についた時はもう11時半だった。もうすでに30分前、焦っていたので送ってくれた3人にろくに挨拶もしないで空港に駆け込んだ。中国では普通ここで見送る側も空港の見送り客の入れる所まで入って見送るのだけど、李は二人の上司じゃないけれど自分より地位のあるで、彼等を連れて自分勝手に行動できないし、私も時間がないしということでさっさと空港にはいった。空港に一歩はいるとそこは普通語の世界だった。確かに訛りのある普通語だけど、それでもそこは空港の外とは違う場所だということをかんじさせる。自分の聞き取れる言語が普通に話されているのは安心感を与えてくれる。この広大な土地で普通語という標準語を普及させているのはすばらしい。だってもし普通語がなかったらこうやって旅行もできないもんね。

 搭乗ゲート付近は人が一杯で座れなかった。ここ1週間ほど脂こい料理ばかりで胃がかなり気持ち悪かった。飛行機で気持ち悪くなったらどうしよう。まだ時間はあるし、ミネラルウォーターを買いに行った。空港で売られているのは高いけど、けちって飛行機の中で気持ち悪くなるよりはましだろう。搭乗ゲートから一番近いお店できいてみるとなんと10元!北京の空港でも4元だぞ!それは高い、成都も大都市だけど北京より高くなるわけがない。ちょっと離れたお店できいてみよう。4元だった。さっきの10元は聞き間違えたのかもしれない。「4」と「10」の発音は普通語のなかでは発音も声調も違うのだけど、方言ではまた違うかもしれない。一応10元?って聞き返して、そう10元、っていわれたと思ったのだけど、間違えたのかもしれない。まあいいや、とりあえず4元のが手に入ったのだから、これで飛行機で気持ち悪くなる可能性も減った。よかったとしよう。

■フライト

 搭乗時刻がきてもゲートはあかなかった。CAは定刻通りに離陸することは本当にすくない。別に急いでいないからいいけど、なぜ毎回おくれるのだろう。今回は機内に騒がしい子供はいなかった。がとなりのおばさんがよくしゃべる。私が雑誌を読んでいたらいきなり「この表紙の3人の女の子どれが一番可愛いと思う?」とか、「今何時?北京にはいつ着くだろう?」とか。でも最初は面倒だったけど話し始めたら結構楽しい。久しぶりに耳にする北京方言も心地よいし、そのおばさんは色んなところに旅行にいったことがあるらしく、そんな話も興味深かった。幸い、私が天津から来たっていうと天津人だと信じていた。天津にもきつい訛りがあるけど、天津人は私みたいじゃなくて普通語をもっと流暢に話せるぞ。一般的にいって華北地方など北京から近い地方は普通語を上手に話す。福建省、広東省など南の方では普通語を話す機会がすくなくて、その土地の方言も普通語からかけ離れているので普通語があまり上手でない。全国で普通語教育が行われているので、その人の教育レベルにも比例するのだが、一般的に北方では南方より普通語が多く話される。私の場合、一言二言話すだけなら、口数の少ない人を気取って変な文法間違いをすることを避け、すぐに外国人とばれることはない。しかしどんなに頑張っても中国の南方の出身だと思われるだけだ。天津人はやはり普通語が上手いので私の中国語レベルでは絶対ありえないのだ。でもまあ、おばさんが疑っていないなら自分から私は外国人ですと告白することもない。そのおばさんは告白しても多分友好的にしてもらえるだろうけど、その飛行機に搭乗している回りのすべての人がそうだとは限らない。飛行機という一時的に閉ざされた空間で、自分だけ違った目で見られたら悲しいし、気づかれないでいられるなら気づかれないままでいよう。

 となりには小さな女の子と男の子の兄弟と若いお母さんが乗っていた。お母さんはなぜか自分一人窓際に座って熟睡していた。真中にお姉さん、そして通路側の席に一番小さい弟が座っている。この座り方はどうなのか?お母さんは一番下の男の子がうろちょろしないようにって通路側にすわらなくてもよいのか?というのも、中国では普通一人っ子なので子供が甘やかされて、子供が飛行機でもどこでも騒ぎ大人も何も言わないという姿がよくみられるからだ。子供は「小さな皇帝」といわれるまでになっている。でもその家族は違っていてお姐さんが弟の面倒をすべてみて、弟も言うことをきく男の子にそだっていた。なるほど、それだからお母さんは子供が機内食を食べている間も熟睡できるのだ。お姉さんは弟と5歳離れていて小学校の3年生くらいだった。5歳離れているとこんなにも下の子供の世話ができるのか、お姉ちゃんはまるでお母さんのように世話をしていた。小さな皇帝のイメージが強かった中国の子供もそうとは限らないんだなと思った。こういう子供だったら手がかからなくて良いな。

■北京空港到着

 おばさんとのお話していると2時間半のフライトもあっという間にすぎていった。やはり北京空港は落ち着く。外に出たらすぐ天津行きバス乗り場もあるし、なにしろ見慣れた景色は安心感を与えてくれる。おしゃべりなおばさんと別れて天津行きバス乗り場に行った。なんだかトラブルが多い。バスは30分に一本なんだけれど、渋滞にまきこまれてなかなかこない。一応3時半発の切符を買って待った。3時半発っていっても定刻にでるわけがない。座って待っていた。案の定バスは4時前になってやってきた。まあそんなものか。私が成都を12時にでるフライトにしたのも、天津のうちに帰るには意外と時間がかかるというのをみこんでだった。フライト時間は2時間半だけど、バスの乗り継ぎや何やらで夕方以降になるから。

 帰りのバスでもちょっとしたアクシデントがあった。エンジンがおかしい。停車するとエンジンはとまるし、再度エンジンをかけたらスムーズに発進できない。高速道路上は停車する必要がないけど、天津市内まで戻ったら、信号でとまるたびにエンジンをかけなおしていた。このおんぼろバス、ちゃんと修理しろよー。

■天津着

 そんなこんなで終着の天津市南京路には6時半についた。あとはタクシーで20分くらいの距離。バス降り場で待っているタクシーは、たまにたちの悪いのがいるので少し歩いた。すぐ近くのバス停まで歩くと不思議とバスに乗って帰ろうという気になった。タクシーだと家まで10元(約150円)で、バスだと1元(15円)なんと10分の1だ!しかもバスは家のすぐ近くまでくる。荷物も重くないしこれはバスに乗って節約しよう!バスを待った。なかなか来ない。きたけれど私が荷物を持ってもたもたしていたら行ってしまった。中国では秩序のある乗降車はない。自分で自分の乗るバスを見つけてそこまで歩いていかなければならない。私のバスがみつかった!っと近づくと、中は人で一杯だった。運転手は「あなた荷物が多いから次のバスに乗ったほうがいいよ」と軽く乗車拒否されてしまった。確かに荷物は重たくはないけど小さなスーツケースを抱えてこんでいるバスに乗るのはちょっときついかも。言われたとおりに次のバスに乗った。そのバスは確かにすいていた。しかし結構な時間をロスしてしまった。30分待ったんだもんな。そのままタクシーで帰ったらとっくに家に着いている時間だった。135円の節約のために30分も待ったなんて、それが私の選んだ節約方なんだなーと。でも確か私の好きな言葉は“Time Is Money”じゃなかったっけ?まあバスに乗って、バスに乗っている人を観察して発見することもあるだろうし、きっと無駄ではないでしょう。

■我が家へ到着

 7時半に無事帰宅。1週間の旅で天津での生活のことすっかり忘れていたけど、天津の部屋は自然に、すんなりと受け入れられた。さあ、荷物片付けて明日の出勤の準備しなきゃ。旅行にいくとしばらくは精神が非現実の世界の中から抜け出せない。現実は現実でうけとめなきゃらなないのよね。いまは疲労や色々な感情で一杯だけど、写真やHPをつくりながらゆっくりと整理していこう。とりあえず、我が部屋に帰宅したということで今回の九塞溝・黄龍の旅は無事終了した。

ここまで読んでくれてありがとう!謝謝!

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