2回目のSARS

 この冬再流行するといわれているSARSについて、主に私の働く会社を例に天津の現状をお知らせします。

12月17日  インフルエンザ集団接種

  会社でインフルエンザの予防接種を実施。インフルエンザの流行は天津ではそれほどひどくないが、この冬SARSが再発生した場合に、インフルエンザによる発熱なのかSARSによる発熱なのか判断がつきにくく、誤診されて隔離されることを避けるために接種が推進されている。病院等でも接種は受けられるがワクチンが足りない状態らしい。


12月18日 台湾のSARS患者をうけて対策を開始

  台湾でのSARS患者発生のニュースを受けて会社で緊急会議が開かれた。前回のSARSのときと同じ対策を来週から早くも実施することに決定した。具体的には、―亢仍会社に入る前に体温測定、外来客にも社内に入る場合は体温測定を実施する。発熱を伴う風ラをひいた場合は自主的に休みをとること。発熱を伴わない風ラの場合は会社内でマスクの着用を義務付ける。1卆絃態に留意し、定期的な大掃除、消毒を実施する、など。

  数ヶ前シンガポールでも今回の台湾と同じようにSARSの研究メによる感染があったが、そのときはシンガポールと距離的に離れていると点で安心したためか特に何の対策も行われなかった。今回は台湾ということで距離的にも近く私の勤め先でも上記対策を実施することにしたももよう。SARSの話題はここ数ヶ撃ネくなっていたが、皆頭のどこかにSARSが再来してもおかしくないという観念があったようだ。

12月19日 消毒開始

  会社で30分の大掃除&消毒が行われた。新しい雑巾(といっても布切れ)が配られ、アルコールを使って各自机やOA機器などを消毒した。前回SARS騒ぎの最中は消毒液を床にも吹き付けていたので、そこまでは至っていないが、皆綺麗に拭いている。

12月23日 来客にも検温

  会社に入るときの検温は、社員だけでなく来客にも行われている。今日きたお客さんは「今回の台湾SARS発覚以降で来客にも検温を始めているのは御社がはじめてです、対策が早いですね」と言っていた。他の会社はまだ来客にまで検温はしていないみたいだ。

12月25日 風邪をひくとやすまされる

  ふと同僚に「風邪ひいたみたい、頭痛い」といったら「熱出ている?風邪ひいたなら会社にきたらいけないよ」といわれてはっとした。そういえば風邪ひくと大変なのだった。回りも嫌がるし、もし休むことになったら仕事上面倒だ。

12月28日 広東省でSARS感染の疑い?

  日本のニュースでは広東省でSARS感染の疑いと報道されているが、天津ではSARS感染が確認されたとの認識されている。周りの反応は台湾のときほど敏感ではなかった。「また広東省かー。」といった様子。まだ具体的な原因もわかっていないし、他の感染者も確認されていないけれど、シンガポールや台湾と違って研究者がSARSウイルスに接触して感染したのではないので、その点をやはり心配している。一人いたら本当はもっともっといるだろう、願ってはいないけど普通に考えてそう思ってしまう。とりあえず隔離はされているけれど、こんなに人口の多いところ、他の人への感染は避けられないような気がする。

12月30日 政府はまた隠す?

  広東省のSARS一件は疑いがかかっているだけで違うであろうという認識で落ち着いた。でも会社の同僚たちは、「もし本当に患者が発生していても政府は絶対に隠すだろう」という。「政府はSARS感染者発生で被る被害を恐れていて、中国は他の国がどうであろうとあまり気にしない、自国が安定していられることを強く望んでいるからだ」とのことだ。私自身は前回中国は正しい情報を迅速に公開しなかったことに関して国際社会から批判をされたので、今回は以前よりは迅速に、より正確に情報公開がなされるであろうと思うけれど、情報公開に消極的であるのは昔からの体制なのですぐには改善されないのではないかと思う。

1月10日

 新たなSARS感染者が発見されたけれど、会社でも外でもその話をする人はいない。広東省はやっぱり遠いからまだ遠くでの話しと思っているのだろう。

1月某日

 天津から深センに出張して北京に行った同僚が、北京の同じグループ会社に入社拒否されたそうだ。会社として深センからの訪問者はSARS感染の危険性があるために入社できないようにしているそう。これは北京市とか親会社の指示ではなく独自で決めているそうだけれど、天津の人のSARSに対するのんきな構えとは違い行動が早いというかそこまでしている会社がまだないためにちょっと驚いてしまった。北京が2008年のオリンピックのために(5年以内に疫病が発生していないという条件を満たすため)どうしても今回SARS感染者を発生させることはできないと、ぴりぴりしているとはきいていたけれど、政府からの指示がないとなると政府の報道が信じられないために独自に対策をとっているということだろうか。うちの会社では今のところ広東、深センへの出張は控えるようにというくらいしか決められていない。民間の感染者がさらに増えた場合は、広東、深センへの出張の禁止になる可能性はある。前回のように北京地区でも広まってしまうと、天津市を出ることが禁止になり軽い軟禁状態になる。

1月20日

 明日からの8日の長期休暇に備えて「まだ北京天津地区ではないですが、広東の方でSARSの発生例があるので休み中は注意してください」といってた。けれど、何をどう具体的に注意するのか指示もないし、皆自分には関係ないといった雰囲気だ。

1月26日

 旧正月休みに4日出勤したけれど、入社前の検温が実施されたのは1日だけだった。普通の日は社バスに乗って来る人はバスの中で、社バスに乗ってこない人も門のところで一人一人検温するのに、休み中は誰もチェックする人がいないからだろうか検温がなかった。休み中でも毎日50人くらいの社員がきているのに管理する人がいなかったらまだ自発的に警戒するまでの段階まで来ていないのだろう。さすがに新年明けみんな年越しのすごし方や親戚などの話でもりあがりSARSの話を出す人は一人もいなかった。

2月2日

 疫病の話題はもう鳥インフルエンザに集中してしまっている。このまま新しいSARS感染者がでなければよいけれど、春節の大移動(春運)で億単位の人が移動したのでどこかで感染があった場合の影響が心配されている。

3月25日

 SARS防止のための会社に入る前の検温が終了することになった。鳥インフルエンザの話も下火になったし、SARSにおいてはもう遠い昔のような感覚になっている。もっと早くにやめてもよかったのにとすら思えるけれど、これもSARS感染がなかったから言える言葉なのでしょう。とりあえず、今回のSARSはひとまず終わりのようだ。

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