現地採用として働いて思うこと


◆現地採用とは?◆

中国にいられるのならどんな仕事でもいい、といい留学が終わってから中国で就職し働く若者が多い。現地で雇用されているので現地採用というけれど、かくいう私も今現地採用で天津で働いている。天津での現地採用の実情はいかなるものなのか。自分の周りを例にして紹介したい。

@給料 会社によって差が大きくあるけれど、日系企業の現地採用なら8,000元以上1万元前後だろう。
A住居 私の知る限り会社がアパートを探してくれてそこの費用をだしてくれるという場合が多い。中には住居についてはまったく手当ても関心もなしという会社もある。そういうところとオリンピック大厦(家賃1万元以上)に住まわせてもらえる現地採用とは全然違う。
B帰国費用 年に1度は会社負担というところと100%自費とがある。
C医療費(現地) 会社が出してくれる場合が多い 海外傷害保険に入ってくれる会社もある
D日本の健康保険 会社は無介入 個人で国民健康保険に入らない場合は全額負担
E日本の年金 会社は無介入
F通勤 津だと会社の社バスがあることが多いのでそれを利用。なければ各自で通勤。普通駐在員通勤用乗用車は使わせてもらえない
Gアフター5 給料が少ないので派手な生活はできないけれど、お客さんの接待などにはいかなくてもよい。自分の好きなことをしていられる。
H名刺 名刺すら作ってもらえない会社もある。
Iボーナス 中国人スタッフと同じで数百元〜数千元でる場合があり。私は一年に一度1,500元くらいだったかな。
J昇給 中国人スタッフの基準 私は基本給が20元だけあがった。

現地採用を辞めようと思ったとき

 現地採用として働いて2年くらいのある日日本人責任者の現地採用の私達を見る目というのを知るような出来事があった。
 私が今の会社に現地採用として入社したときの条件として、日本人である私達は中国の保険に入ることもできないし、現地で病院にかかった費用は会社が年間に4,000元までを限度として負担する、という条件があった。そして私はあるとき耳が気持ち悪くて中耳炎なってしまった。症状は今まで中でかなりひどいほうだったので、普通の中国系病院ではなくてある外資系クリニックに診察にいった。そのクリニックはほとんどが海外傷害保険に加入している外人相手なので、一回の診察料は非常に高い。薬を処方してもらったりちょっとした処置をしてもらった場合などは1000元を超えてしまうこともある。ばか高い値段設定である。いいところは中国系病院にはかけている衛生面で安心、日本語通訳さんがいること、中国人医師の他に西洋からの医師がいて、先進国レベルの診察ができるということ。普通の風邪や何かで、そこに行くのはまったくの浪費だと思うが、今回私は症状があまりよくなかったので、そこにいくことにしたのだった。診察も丁寧にみてくれて薬の説明もきちんとしてくれた。値段は高かったけれど満足できる診察だった。3回の診察で医療費は2,000元だった。しかしそれを会社に請求を出したときに、金額が高いといってとめられたのだ。

 現地法人トップに相当する総経理に「外資系クリニックは必ずしも現地のローカルな病院よりすぐれた治療をしてくれるとは限らないんだよ、こんな高い病院にいくなんて君クレイジーだ、うちの駐在員だって外資系クリニックにはいかないんだよ、現地の病院にいって治療しているんだよ。」といわれた。私は「確かに外資系クリニックは高いですけど、今回の症状はあまりよくなかったのでローカルな病院に行きたくなかったのです。衛生面でも服務やアフターケアなど色々な面で日本人の感覚で満足できる外資系クリニックにいこうと思ったのですと説明した。すると「君たちはね、現地採用として働いている以上はね現地のスタッフと同じなんだから日本人であることを忘れてもらわなきゃならないよ。」といった。 

 確かに金額は高いけれど年間で4000元まで負担するという条件だった。1年間で4,000元以内なのなら1度で2,000元であっても条件の範囲内じゃないか。ローカルの病院でだってそんなに安いわけじゃない。そこに何度も通院して1年で4,000元を超えて請求しても問題なくて、もし年に1度外資系クリニックの診療代として2,000元請求したら文句を言われるのか。そしてそれが「クレイジー」や「日本人であることを忘れてくれ」という言葉で説得されるのか。

私が「入社したときの福利厚生の条件として「4,000元以内の医療費を実費で支払う」と記載されています。それについての変更はきいていません。」というと、「会社の状況は入社時とずっと同じであるとは限らないんだよ。今会社の経営状況はあまりよくないから、私(総経理)も含め経理責任者だって駐在員みんな給料がどんどんさがっているんだ。入社時の条件がそのままだというのは甘い考えだよ。どんどん下がっていってそれに納得できなくなったら、どうぞ他のもっと給料をくれるところにいって頑張ってくださいというそれだけだよ。

「規程については今まではなかったので今回はこの通り支払うけれど、今後は規程を付け加えるのでそれに従ってローカルの病院に行ってください。」

私の主張はとおりそうもなく、以後は総経理の言う通りローカルの病院にかかったときだけ医療費の請求ができるようになった。これと同時に日本に帰国したときに発生した医療費(眼科の定期検診など)の費用も社会保険に入れなくて無保険で全額負担だから会社で払ってもらっていたのだけど、これも同じように以後はだめになった。もちろん私たちはローカルスタッフとして考えるから、日本に帰国したときというのは海外とみるみたいだ。あくまでもこの中国の今住んでいる天津を基準としてそこで発生したローカルな病院の医療費だけをもってくれるみたいだ。

そこには人情のかけらもないようだった。確かに契約としては現地採用だ。だけど私たちは日本で日本人の家庭に生まれて育った生粋の日本人だ。ただ数年前に中国に来て中国語を学び、中国に残りたいからという理由で日本から派遣される人たちとは違って、現地で採用の現地採用としての仕事をしているだけだ。それで日本を捨てたということもないし、給料をやりくりして日本に帰国している。たしかに言っている道理はわかるけれど、ちょっとした数千円とかの負担すらも拒否しなくてもいいじゃないか。現地採用は会社によるけれど2、3人が普通だ。それが積もって会社の経営に大きく響くのだろうか。それよりももともと少ない給料とよくない条件で働いている私たちを同じ日本人としてちょっと配慮してあげようとは思わないのだろうか。言い方も人権侵害されているような気分だったよ。まったくこの会社に対する愛着を失った。そこまでいわれて頑張る必要もないし、もちろん日本人であることを忘れろなんて言葉に単純に腹が立った。私は確かに自分で選んだ条件をのまなければならない。けどそういう言い方ってひどくないか。

 ただ一つ彼らをフォローするならば、私を雇うと決めた上司は入社する前に早期退職で退職してしまったということだ。駐在員というものは大体2年〜5年で任期が終了して日本に帰り新しい人がやってくる。比較的早いサイクルで自分の上司や経営者が代わり、その人それぞれ考え方が違うから前任者が今いる現地採用と結んだ契約なんてものはあまり意味がないように思えてくるだろうし、自分が使おうと思って雇った人じゃないのだから、はっきりいって全く必要ないのかもしれない。私も今3年間つとめて直属の上司は2人目だ(早期退職の上司は含めず)。総経理自体も2代目だ。誰も当時私が雇われた思惑を知らないといっても過言ではないのだよね。だから仕方ないといったら仕方ない。でも私は海外で暮らしているからこそ余計に自分は日本人だということを感じる。それを簡単に否定されるのはうれしいことではない。あの言葉は絶対忘れないだろう。

再度フォローのため言うが世の中こういう態度をとる会社ばかりではない。現地採用の社員を労わって少ない給料なりに可愛がってくれる会社も多い。特に小さい会社で現地採用が2名以内だとその傾向が多い。大手企業は逆に現地採用に関してはシビアだ。もともとネームバリューがあるからいい条件を提示しなくても人が来るからだろう。そして往々にして大手企業は自分達の給料が海外手当などを含めて馬鹿高いということを棚に上げて現地採用の給料は高い、などというのだ。彼らは現地採用を小ばかにしている。そして現地採用は大体女性が多いが、大手企業の駐在員の奥さんは大体専業主婦だから女性のキャリアという認識がない。もちろん企業なのだから個人のキャリアなんて個人で考えてくれというのは日本も一緒かもしれないが。まあこれも短いスタンスで人が入れ替わるということが関係あるのかもしれない。

現地採用が向いていると思われる人

現地採用はその地に深く根をおろしている人には向いていると思う。たとえば現地の人と結婚して現地で生活している人、日本にもそうそう頻繁に帰る必要もないし現地にいなければならないという大きな理由がある。配偶者が現地の人だと、給料が少なくても配偶者の助けもあり現地での生活は苦しいものではないと思う。
天津にいる知っているこのパターンは短期留学のときに知り合った中国人男性と結婚した日本人女性。旦那さんの給料は2,000元くらい。奥さんは予想8,000〜10.000元くらい。日本に帰ったり、子供を日本人学校に入れたりしようと思わない限りは裕福に暮らせる。ただ旦那さんが普通の人なので日本に一緒に帰って仕事みつけて養うことができるのかどうかは不明。

続く

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